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ハナマルキ株式会社 大利根工場様

手軽な改善ツールJIGletの活用で味噌や発酵食品づくりの生産性が大きく向上

企業活動を継続するうえで、日々の業務を見直し、生産性や品質向上を図る改善活動 はいまや必要不可欠なもの。

近年はそれらの活動を支援するデジタル機器も市販され ているが、使い方が複雑な製品や導入コストの高い製品は現場に馴染まないことが多い。

こうした中、 ハナマルキ株式会社大利根工場では、村田製作所とACCESSで共同開発した製造現場向け業務改善支援ツール 「JIGlet (ジグレット)」 を活用。
その使いやすさと結果の見やすさから、大きな効果を上げている。

味噌醸造の老舗企業

ハナマルキ株式会社は創業から100年以上続く味噌醸 造の老舗企業。 「ハナマルキ 追いこうじみそ®」に代表される味噌類をはじめ、機能性調味料の「ハナマルキ液体塩 こうじ®」、加工食品の 「即席みそ汁」、さらには製菓原料に 至るまで、日本に古来より伝わる醸造技術を応用したさまざまな商品を製造販売する。製造拠点は国内外に3ヶ所あり、中でも大利根工場 (群馬県邑楽郡) は、多品種を製造す る拠点である。

同工場ではこれまで、伝統の味と品質を守りつつ生産性を高めるため、 国際的な食品安全の認証規格である ISO22000やFSSC22000に基づく業務改善やTSS(トヨタ生 産システム)の導入など、さまざまな努力を払ってきた。
しかし、それでも解決できない課題があった。 現場で改善活動を行っても、日常的に機械の停止やモノの滞留が発生す るなど、効果が得られないことが少なくなかったからだ。さらに問題なのは、 その原因がどこにあるのか、正確につかめていないことだった。

ハナマルキ株式会社大利根工場

外観選別や多台持ち工程の課題を解決

取締役大利根工場長の茂木展義氏

こうした中、作業時に操作して時間を記録する製造現場向けの改善支援ツールであるJIGletの 「サイコロデバイス」に着目した。 活用するときはまず、 それぞれの面 (6面) に意味付けを行う。例えばサイコロの1面が上のときは作業の開始、 2面が上のときは終了、 3面は機械の異常停止と いう具合に意味付ける。 あとは作業者が状況に合わせてサイコロの面を変えていくだけで、 データ収集とグラフによる可視化が行えるものだ。 このJIGletの利便性に最初に着目したのは、経営トップの花岡周一郎社長であったという。

花岡社長は「改善活動を行うのは良いが、現状を正確に把握し、それを可視化してから始めないと、その活動自体が意味をなさない恐れもある」という問題認識に基づき、日頃から情報収集に努めていたのである。
「社長の花岡から 『JIGletの活用を検討してみてはどうか』と言われたとき、私はそれがどんなものであるのかも知りませんでした。しかし、われわれにとって有難かったのは、販売元のACCESSさんが1ヶ月間の 『お試しプラン』を設けてくれているお陰で、手軽に使えたことでし た」と取締役大利根工場長の茂木展義氏は話す。

作業者に負担がかからず、 現場改善が進む

「使ってみて、 時間計測とその可視化が素早く行えることに驚きましたが、 一番気に入ったのは、作業者にほとんど負担がかからないことでした」 (茂木氏)。同工場では過去 に、作業者にストップウォッチやタイマーを用いて設備の停止時間などを計測してもらったことがあるが、 本来の業務 と時間計測を同時にこなすのは作業者への負担がきわめて大きいことが分かり、途中で断念した経験があるという。

お試しプラン中に確信を得たことから、同工場では2022 年3月、JIGlet® を本格導入した。
導入からまだ日は浅いが、 すでに7つの職場 (工程) で活用されている。 その代表例が 味噌を容器に充填し、箱詰めして出荷する充填工程での活用だ。機械化が進んでいる工程だが、 多数の機械が連動し ているため、一つの機械が停止するとライン全体の稼働率が低下する。そして、稼働率は月ごとに上がったり下がったりしている状況だった。

同工場でのJIGlet® 活用の特徴は、 使用するサイコロデバイスを1個にしていることだ。実際に は4個購入しているので、一度に複数個用いることも可能 だが、作業時の混乱を防ぐため、あえて1個に限定している という。

指一本の操作でデータの可視化が可能
指一本の操作でデータの可視化が可能
改善につなげるため可視化したデータを現場で確認

まず、サイコロデバイスの意味付けを比較的粗いものにして、ライン全体の稼働状況を可視化する。 次に停止時間が突出している機械に絞り、意味付けを細かくして停止原因を深掘りするというやり方である。 その結果から、充填工程の最後の箱詰め機械のメンテナンス状態に一番の問題があることが分かり、問題個所を集中的に修理。

この対策により、充填工程の稼働率は月平均で2〜3%向上したという。「たかだか2〜3%と思うかもしれませんが、 当社にとってはとても大きな数字なのです」 (茂木氏)。
問題を抱えながらも、原因を可視化できていない職場は まだ多くあり、JIGretの活用を工場全体に広げていくのが当面の目標だ。

JIGlet導入で

過程における問題箇所を集中的に修理でき、稼働率アップにつながった